全国重症心身障害児(者)を守る会
第11回 東北ブロック・福島大会
    平成19年9月8日・9日


「グループディスカッションの報告を聞いて、


読んで、考えたことの総括的なまとめ」


全国重症心身障害児(者)を守る会
顧 問  山 﨑 國 治



【重症児施設部会】


個別支援計画のこと
   根拠を紹介します。
   児童の場合は、「施設支援計画」と呼んでいます。
   その概要は、次のとおりです。
  (1) サービスの提供は、この計画に基づいて提供されることになっている。
  (2) 計画の作成に当たっては、担当者会議を招集して、会議による検討を行うこと。
  (3) 計画の作成に当たっては、障害児とその保護者に計画の内容を説明し、文書による同意を得ること。
  (4) 施設は、この計画の作成後、その実施状況の把握を行い、障害児について解決すべき課題を把握し必要に応じて計画の変更を行うこと。
  (5) 計画を変更する場合には、担当者の会議を行うこと。
  (6) 計画を変更する場合には、変更する内容を保護者と障害児に説明して、文書による計画変更の同意を得ること。
   以上のことが、「児童福祉法に基づく指定知的障害児施設等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年9月29日・厚生労働省令第178号)の第24条に述べられていて、重症児施設にもこの規定が準用されています。(第84条)
  この省令には、今年の2月14日に障害保健福祉部長から都道府県に通知が出ています。
  [ 施設支援計画には、
    ① 障害児の支援目標
    ② 支援の具体的内容(行事や日課等も含む)
    ③ サービスを提供する上で留意すべき事項
    ④ その他必要な事項を記載すること
    ⑤ 様式については、施設ごとに定めても差し支えないこと。 ]
  「解決すべき課題の把握」については、「介護老人福祉施設に対する通知の①課題分析の実施、②課題分析の留意点」について詳細に説明していて参考になります。


医療費の通知のこと
   通知の根拠は、省令の指定基準第22条の規定です。そこには、次のように書かれています。
   施設が法定代理受領によって都道府県から施設給付費(従来の措置費)又は施設医療費の支給を受けた場合には、保護者に対して、給付費又は医療費の額を通知しなければならない。
   通知の金額に疑問があれば、施設に説明を求めて確認しておくことが大切です。
   施設の医療費については、施設が採用している医療の診療報酬区分も知っておくことが重要です。例えば、「障害者施設等入院基本料の「1」「2」「3」のいずれの区分を採用しているかです。
   現行の「特殊疾患療養病棟2」を採用している場合には、来年の3月31日に廃止となります。来年の4月からは、◎障害者施設等入院基本料「1」「2」「3」のいずれか、療養病棟入院基本料(9区分)の選択となります。
   来年の診療報酬改定作業は、8月8日に厚生労働省から中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会に「平成20年度診療報酬改定の検討項目」が示されました。
   また、9月20日には、社会保障審議会医療保険部会に「平成20年度の診療報酬改定に向けた検討」が議題として示されました。
   障害者医療の診療報酬が削減されないよう、検討の内容を注視しつつ、要望していくことになります。
   子どもたちの医療費に直接的に影響しますので、検討状況の推移を説明いたしました。なお、検討項目については、拙稿の「中央の動き、8月」に掲載しておきました。


【在宅部会】


医療面から
   在宅生活の重症心身障害児(者)を、24時間体制で、いつでも対応してくれる医療機関が身近に存在していると、生活上の不安が解消されます。
   昨年の診療報酬改定で、「地域医療の充実」という観点から、「在宅療養支援診療所」が創設されました。特徴は、「往診」「訪問看護」を24時間継続実施することにあります。
   患者には、往診担当医師の氏名、緊急連絡先、訪問看護の担当者の氏名などを、文書で患者に知らせておいて、いつでも対応できる体制を整えておく制度です。この制度を、在宅の重症心身障害児(者)の訪問診療にも活用できないものかと、考えました。この診療所に「在宅主治医」としての役割を担ってもらえないものか・・・・という願望を抱きました。
   国も来年の診療報酬改定では、在宅医療の充実を図るということから点数の引き上げを行う方針と聞いています。
   短期入所利用や緊急時入院などのため、近くの重症児施設との連携も欠かせません。
   在宅医療で安心して生活できるためには、在宅重症児(者)医療保障のネットワークを、どのように作り上げて行くのかが課題といえます。
   ネットワークづくりに成功している守る会会員の知恵も活用しながら、運動を進めていきたいものです。


福祉面から
   「行政は重症児(者)の実態を把握していないと思われる」と述べた意見がありました。
   行政担当者は、障害福祉事務を担当することなく定年を迎えて公務員生活を終える人が多いというのも事実です。
   ご意見は、行政側の問題というよりも、障害児(者)の親の運動に帰着する問題だと理解しました。つまり、運動の中で、常時、行政との交流や会合維持に努力しているか否かにかかっています。
   都道府県レベルでは、従来、措置権者の立場もあり、担当者レベルでは理解があります。問題は市町村では、どうかということです。
   福祉サービスの流れは、平成2年の福祉は八法改正から一貫して市町村実施主体となっていて、検討される児童福祉法改正も、市町村委譲が大勢となるでしょう。
   守る会本部作成の「いのち豊かに」の冊子を携えて、すべての市町村訪問を敢行した支部も、これからの行政対応は、「市町村」との理解と認識に立つものでした。
   施設入所も市町村の権限になれば、ますます住所地の市町村担当部課との交流は重要となります。
   定期総会や研修会などでも、来賓として招待したり、行政施策の講演を依頼するなど、多くの行政交流機会を積極的につくっていく努力が必要ではないでしょうか。
   重症児(者)の通園施設のことが、話題となっていないことに驚きました。学校卒業後の生活は、昼間の生活の場、社会参加の場としても、通園施設のことが切実な問題として訴えられるのが、常だからです。
   守る会の今年の全国大会の要望書の中にも、重症児施設のすべてにA型施設を設置してください・・・・と述べています。
   各ブロックが、各支部が、A型設置に向けた運動をどのように展開しているのか、それとも全く運動としてとりあげていないのか――という感想を持ちました。
   講演でもお話しましたように、障害者自立支援法では、「障害福祉計画」が市町村でも作成され、平成18年度から平成20年度までの3ヵ年計画を第一期としています。
   目標値は、平成23年度までとしています。平成24年度からは、すべての経過措置が終わり、平成24年度から26年度までの第3期計画が策定されることになります。
   また、障害者重点施策5か年計画も前期が今年度で終了し、来年度から後期の重点施策5か年計画が始まります。
   支部としても前期5か年計画の検証作業が必要となります。後期の計画に要望の実現を図るためです。
   説教じみた内容となりましたが、意中お取り組みくだされば幸甚です。


【国立施設部会】


入所施設で満40歳となったら、介護保険料を支払えという通知がきて1回支払ったという報告について
   介護保険は平成12年4月1日から施行されました。重症心身障害者については、適用除外となりますので、支払う必要はありません。支払った金額を返金しないと、市は不当利得となり、返還請求ができます。その根拠は次の二つです。
  介護保険法施行法第11条第1項の「適用除外に関する経過措置」
  介護保険施行規則第170条第1項の1号・2号の規定による適用除外規定、最初が重症心身障害児施設それから国立医療機関となっています。
   こうした法令を徹底させるために、平成12年3月24日に障害福祉課長と企画課長名の連名で、「介護保険制度と障害者施策との適用関係について」と題した通知が都道府県に出ています。法令と通知文は、ブロック役員に配付いたします。
   法令で、「適用しない」と宣言しているのですから、保険料を支払う必要はなく、保険料支払い免除のような申請書を提出る義務もありません。


後見人としての不安について
   後見人は複数の選任ができます。家庭裁判所の調査官と相談してください。


病院内の環境整備と衛生面の改善について
   こうした問題は、個人的な意見というよりも、利用者の保護者全員に共通する問題と言えます。そこで、共通した問題の解決方法として、病院と親の代表で構成される「親の会」という組織との話し合いが望まれます。
   九州ブロックでは、病院・施設と親の会との話し合いによって、相互信頼をたかめることにより、子どもたちへのサービス向上に結び付けていくことにしています。「運営懇談会要綱」を作成して、時期・出席者・議題・記録・記事録作成と配付する方式を平成15年度から取り入れています。
   親個人としては、実際問題として言いたいことも言えないという雰囲気があるのも事実です。こうした親の立場を理解して、「親の会」という組織を作って対応していこうというものです。
   親の会からは、子どものサービスへの注文や改善を求めることが多くなります。病院・施設側からは、予算・決算・事業計画などが定期の議題となってきます。
   定期的な運営懇談会の開催によって、親の会と病院との意思疎通を図ってください。病院からの回答を病棟掲示板に貼り付けてもよいでしょう。
   省令第178号の指定基準の第39条で「衛生管理等」を、次のように述べています。
  (1) ①設備②飲用する水③機械器具等の適正な管理
  (2) 感染症、食中毒の予防対応
  (3) 入浴又は清しき
   親の会として、環境・衛生面の規定の遵守を要望しながら、その他、もろもろの要望を提出してみては、いかがでしょうか。
   それでも状況が改善されなければ、監督官庁である都道府県知事に対して改善要望と施設指導を要望してみる方法もあります。


施設に要望すると、「これ以上のサービスは出来ない」「外を探してください」などと言われる不安があり、言えない
   省令の指定基準では、施設が守らなければならない原則を、「施設等の一般原則」として規定しています。3項から構成されていますが、第1項を紹介します。
   「指定知的障害児施設等は、当該知的障害児施設等を利用する障害児の意思及び人格を尊重して、常に当該障害児の立場に立った指定施設支援の提供に努めなければならない。」
   施設はこの規定を尊重する義務がありますから、親の要望は「親の会」という組織を通して施設側と話し合うのがよいでしょう。
   「運営懇談会」の設置による協議体の運営も課題解決の一つの方法となります。


大会スローガン通り「東北6県での格差のない福祉サービスの充実を」切に願います
   子どもの幸せを願う親の気持ちとてしは、当然な要望といえます。しかし、現実に目を転じますと、東北6県の財政格差は歴然としています。こうした客観的な事実からわが市、わが町の財政はどうなっているのかという視点に移ります。行政の無駄はないのか、行政の改善点は何か。こういった視点から財政構造を分析して評価してみることも大切です。建設的な要望には、こうした分析を経た検討結果でないと説得力がないのです。
   北海道夕張市のような財政再建団体に指定されないためにも、財政分析に基づく要望がのぞまれます。最も充実しているのは、東京都です。ならば、東京都に転居するかというと、そんなことはできません。わが市、わが町を離れる気持ちはありませんよね。


障害程度の軽い人は、他の病院に移るという話については何かあるのか。病院を出ることになればどうなるのか、とても不安である
   重症児施設には、重症児(者)の障害程度に該当した人が入院・入所することになります。在宅生活が可能となった人については、どう対応するのかについて、省令178号の指定基準第25条の規定が参考になります。条文は次の通りです。
   「――当該障害児が居宅において日常生活を営むことができるよう定期的に検討するとともに、居宅において日常生活を営むことができると認められる障害児に対し、当該障害児の希望を勘案し、当該障害児の円滑な退所のために必要な援助を行わなければならない。」
   次の第26条では、「相談及び援助」の規定があります。この条文も紹介しておきます。
   「指定知的障害児施設は、常に障害児の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、障害児又はその家族に対し、相談に適切に応じるとともに、必要な助言その他の援助を行わなければならない。」
   この条文は、第84条の規定によって、重症児施設にも準用されています。


重症児施設病棟の80床が病棟改築時には、60床に減るという情報がある。その差20床に該当する人はどうなるのか不安である
   現在、国立病院の改築に関連して、160床を120床に、80床を60床に削減の動きがあります。従来の40床単位をなぜ60床にしたのか、その理由は、昨年4月の診療報酬改定によります。その文章を紹介しておきます。
   《1病棟当たりの病床数については、次のとおりとする》
   1病棟当たりの病床数については、①効率的な看護管理②夜間における適正な看護の確保③当該病棟に係る建物等の構造の観点から、総合的に判断した上で決定されるものであり、原則として60床以下を標準とする。ただし、精神病棟については、70床まではやむを得ないものとする。
   (2)と(3)は省略しました。


【母親部会】


施設の福祉サービスについて不満である。
   報告書では、具体的な指摘事項が記載されていますが、施設側の意見・考え方を聴取してみないと、適正な判断は危険と思いました。
   前にも述べましたように、施設に対して個人的に意見ゃ苦情は言いにくいものです。親の心情として、子どもに迷惑が及ぶのではないか・・・・という不安があるからです。制度としては、苦情の申し出制度もありますが、実際に機能しているのでしょうか。
   人権尊重、虐待防止、身体拘束原則禁止など、施設入所している障害児(者)にも守られるべき事項であることは当然です。
   親としての個人が、施設にもの申すことは、勇気のいることであり、すべての親がその勇気を持ち合わせているわけでもありません。
   施設に子どもが世話になっているという負い目が先に立って、言いたいことも言わないというのも好ましいことではありませんね。
   ここに親の会という存在を、施設側と協議する対等の「運営懇談会」の設置によって、定期・臨時に開催していくこと、協議内容は情報公開とすることなどの活用によって、相互の信頼関係を高めていく努力が望まれるところです。
   以上、総括紙上報告といたします。
   青森大会から始まりましたグループディスカッション方式も、年々定着してきました。全員参加型の発想は、参加者の皆さんがお客様になることもなく、それぞれの役割を果たして、発言するというすばらしい試みでした。それが成功していることに敬意を表します。討論した内容をとりまとめて翌日の会議に配付する態勢は、役員をはじめ参加者の協力なしには実現するものではありません。
   毎年のブロック大会がマンネリ化することもなく、グループディスカッションを楽しみに参加している会員の姿には感銘をうけました。九州・沖縄ブロックでも、国立施設分科会で前半の時間を、グループディスカッション方式を採用することになりました。しかし、すべての参加者によるデイスカッションとまではいっていません。東北ブロックに相当の遅れを感じているところです。
   拝聴型から参加型への転換は、これからの守る会活動の大きな課題といえます。
   終わりに、東北ブロックの会員、施設職員のみなさんのご健勝を祈念して結びといたします。ありがとうございました。
   (平成19年9月12日 記)